MALTリンパ腫を中心に各種治療効果の臨床的検討やMALTリンパ腫の原因遺伝子に関する解析や分子生物学的研究を行っています。これらの研究の成果は専門的な診断や治療に用いられています。
超音波内視鏡を用いた癌の深達度診断、拡大内視鏡や狭帯域RGBフィルターを用いた腫瘍性病変の悪性度診断および炎症性腸疾患の内視鏡診断の研究を行っています。さらに、ダブルバルーン内視鏡やカプセル内視鏡を用いた小腸疾患の診断と治療に関する研究を行っています。これらの研究は消化管疾患の診断や治療に直結した有用な研究となっています。
当科は多数の炎症性腸疾患患者の診療に当たっており、本疾患を対象とした多くの臨床研究を行っています。厚生労働省難治腸管障害疾患研究班の分担研究により、クローン病にたいする新規分子標的治療であるインフリキシマブ投与の臨床効果に関する全国多施設研究を行い、インフリキシマブ治療効果の解析を担当しています。また、クローン病における小腸病変の評価をX線検査に加え内視鏡での評価を行う事により、正確な診断と治療効果判定に関する研究を行っています。
クローン病や潰瘍性大腸炎の疾患関連に関する遺伝子多型解析を行ない、臨床徴候との関連を検討することにより疾患関連遺伝子の意義が明らかになっています。NOD2をはじめとする欧米で報告された遺伝子異常は本邦では確認されておらず、今後はゲノムデータベースを用いる事により、疾患関連遺伝子のより詳細な解析を行なう予定です。 また、リンパ球を中心としたケモカインや接着因子発現解析を免疫学的アプローチを用いて行うことにより炎症性腸疾患の病態解析を進めています。 一方、潰瘍性大腸炎の粘膜局所のDNAメチル化の解析では潰瘍性大腸炎の発癌過程のメカニズムを研究しています。
当科では、以前より家族性大腸腺腫瘍症(FAP)をはじめとする遺伝性消化管ポリポーシスに関する診療を続けており数多くの報告を行なっています。特に最近は本疾患の原因遺伝子であるAPC遺伝子変異と臨床徴候の解析や、MYH遺伝子変異の解析を進めています。さらに、遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)に関する遺伝子解析も同時に行なっており、臨床徴候と遺伝子診断に基づいた治療方針の決定や家族のカウンセリングに貢献しています。
胃・腸の循環障害モデルを用いた実験潰瘍やNSAIDSを用いた実験腸炎の解析と治療薬剤の探索。
マウス腸炎モデルを用いた腸炎発症機序の解明とgrowth factorの治療効果の解析を行い、炎症性腸疾患の発症に関わる樹状細胞の役割やgrowth factorの治療応用の検討を行っています。
マウスモデルを用いた移植片対宿主免疫反応での腸管上皮アポト-シスメカニズムの解析を行っています。