九州大学大学院 病態機能内科学(第二内科)消化器研究室

主任挨拶 GREETING

消化器疾患診療における消化器内科医の位置付け

消化器疾患はきわめてニーズの大きな疾患領域です。例えば、本邦における部位別癌罹患数の推移では胃癌・大腸癌はもっとも多い疾患の一つであり、大腸癌はさらに増加傾向です。また、若年者に多い潰瘍性大腸炎やCrohn病といった炎症性腸疾患患者数も増加の一途を辿っています。さらには、バルーン内視鏡やカプセル内視鏡などの小腸内視鏡機器の進歩に伴い、従来は見逃されていた小腸疾患も明らかとなり注目を浴びています。また消化器内科医が早期の消化管癌を内視鏡により切除することや、薬物治療も生物学的製剤や化学療法の進歩に伴い、消化器内科医の役割はますます大きくなっています。

消化器研究室の研究内容

昭和29年に岡部治弥先生が設立された消化器研究室は、「日々の臨床で経験した症例から学ぶ」、「臨床から生じた問題点を研究へと結びつけていく」ことをモットーに研究をしています。患者さんの診療に丁寧に携わることにより浮かんだ疑問について、消化管癌、悪性リンパ腫、消化管ポリポーシス、クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の病態解明や新規治療法などの研究成果を挙げてきました。現在も九州大学の他分野や全国の大学と連携して多くの臨床研究を行っています。網羅的な遺伝子解析、分子生物学的解析、腸内細菌のメタゲノム解析、AIによる画像解析、といった手法も取り入れ、現在の医療で解決できない疾患の解明と新規治療を模索しています。

現在の消化器研究室の体制

消化器研究室は大学病院と関連病院が密接に連携しています。九州大学には約20名が教員、医員あるいは大学院生として在籍し、関連病院に約70名の研究室メンバーが勤務しています。大学では日々の診療に加えて教育・研究に携わっており、教育の一環として若手消化器内科医のX線・内視鏡診断向上を目指し症例検討を行っています。関連病院においても、チーム医療が重要となる消化器疾患診療が円滑に行える体制を整えています。さらに、関連施設の大半は日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会の認定あるいは認定指導施設であり、日々の臨床のなかでも消化器疾患診療における指導が得られます。

若手医師のみなさんへ

消化器疾患診療は、診療に加えて内視鏡治療も増加の一途を辿るため忙しいのも事実です。しかし、内視鏡診断・治療を行うことにより「自分で診断し、自分で治療する」という医師の醍醐味を実践することができることも消化器内科医の大きな魅力の一つであると考えます。消化器内科医のニーズは非常に高く、罹患者数の推移からみてもこの傾向は続くでしょう。多くの皆さんが消化器診療に興味を持ち、皆さんと力を合わせて消化器内科診療ならびに研究を盛り上げていける日が来ることを願っています。

Page Top