教授挨拶
Greeting
臨床から未来を拓く
-信頼と共感の内科学

令和7年4月1日付で、第二内科(病態機能内科学分野)第9代教授を拝命いたしました吾郷 哲朗(あごう てつろう)です。歴史ある教室を託された責任の重さに身が引き締まる思いです。同時に、この教室を次代へ導く機会を得たことを、大きな喜びとして受け止めています。
当教室は、明治38年の創設以来、“総合内科”として時代のニーズに応える形で、多様な疾患を担う体制を培ってきました。地域医療から先進医療に至るまで一貫した診療・教育・研究を展開し、「臨床の第二内科」として、実地医療に根ざした診療と人材育成を重視し発展を遂げてきた教室です。
現在の教室は、脳循環、腎臓、消化管、高血圧、糖尿病、内分泌、肝臓、久山町研究の8研究室が密接に連携し、それぞれの専門性に加え、総合力で患者さんを支える診療を実践しています。福岡市を中心に、多くの関連施設に経験豊富な指導医が配置され、専門医資格取得に向けた充実した研修体制が整っています。
教育では、「考える力・行動する力・学び続ける力」を育むことを重視し、変化の激しい医療環境でも柔軟に対応できる医師の育成に取り組んでいます。研究では、昭和36年に開始された久山町研究を基盤として、大規模疾患コホートによる臨床疫学研究と基礎研究の融合により、生活習慣病や脳卒中、腎疾患、消化管疾患の病態解明に挑んでいます。近年は、ゲノム医療やAI技術との連携を進め、個別化医療の実現に向けた新たな挑戦へと踏み出しています。
こうした取り組みを支えているのは、「臨床で生じた問いを研究で解き明かす」という実践的な姿勢と、温かく協力的な教室の雰囲気です。多様な価値観を尊重し、支え合い、切磋琢磨する文化が、教育・研究・診療すべての土台となっています。
私が大切にしている理念に、第4代教授・勝木司馬之助先生の醫言「枝は鳥を選ばず」があります。どのような患者さんにも誠実に向き合う“総合内科”の精神を体現し、自らの可能性を限定せず、あらゆる現場で力を発揮する医師を育てたい——それが私の思いです。
第二内科は、専門性と総合力の両立、柔軟な働き方、多様な志向を尊重する教室です。若手医師はもちろん、地域医療に尽力される先生方、そして教室とともに歩んでくださっているすべての方々と力を合わせ、信頼され社会に貢献する内科学の実現をめざして、歩みを進めてまいります。
今後とも温かいご支援、ご指導を賜りますようお願い申し上げます。
令和7年
第二内科 教授 吾郷 哲朗
