佐藤倫子先生(H24)が大学院(医療経営・管理学)で行なっている研究がCerebrovasc Disに掲載されました。
Anticoagulation and Risk of Stroke Recurrence in Patients with Embolic Stroke of Undetermined Source Having No Potential Source of Embolism
Fukuoka Stroke Registryのデータを用いて、潜因性脳塞栓症(embolic stroke of undetermined sources: ESUS)の中で、低リスク心内塞栓源や潜在性発作性心房細動など塞栓源が同定された症例を除外して、最終的に塞栓源が不明であった症例を対象に、抗血小板療法と比較して抗凝固療法の方が脳梗塞再発リスクを有意に軽減することを示しています。
最近、原因不明の日本人脳塞栓症患者に対する直接型経口抗凝固薬ダビガトランの再発予防効果を検討した国際共同臨床研究「RE-SPECT ESUS試験」の日本人患者の治療成績を解析したサブ解析の研究成果がCirulation Journalに報告されています。それによりますと日本人では主要評価項目である脳卒中再発率はダビガトラン群で年4.3%、アスピリン群で8.3%と有意な差を認めています(ハザード比 0.55, 95%信頼区間 0.32-0.94)。
今回の佐藤先生の研究成果はRE-SPECT ESUSサブ解析結果とほぼ同じ時期に発表となりましたが、ともに内容が合致しています。今後、ESUSに対する治療への一助となることを期待しています。