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2023年4月7日(金)

植木香奈先生(H24)の大学院での研究成果がStroke誌に掲載されました!

植木香奈先生(H24)が大学院で行った研究成果がStroke誌に掲載されました!

Decreased estimated glomerular filtration rate and proteinuria and long-term outcomes after ischemic stroke: a longitudinal observational cohort study

Stroke 2023 Apr 6. doi: 10.1161/STROKEAHA.122.040958. 0nline ahead of print

 

慢性腎臓病(CKD)が虚血性脳卒中を含む心血管疾患や死亡の新たな潜在危険因子として注目されてきていますが、CKDが古典的な心血管病危険因子とは独立して脳梗塞再発や死亡の危険因子であるのか、また腎機能障害(eGFR低下)と腎損傷(蛋白尿)が脳梗塞再発や死亡の危険因子であるのか、いまだ一定の見解に至っていません。

そこで植木先生はFukuoka Stroke Registryに登録された急性期脳梗塞患者12576例を対象に、CKDおよびその構成因子であるeGFR低下と蛋白尿を同時に評価して、全脳卒中再発と全死亡との関連を検討しました。

その結果、

1)急性期脳梗塞患者では、eGFR低下および蛋白尿で定義されるCKDは、長期的な全脳卒中再発また全死亡のリスク増加と有意に関連していること

2)eGFR低下は、全脳卒中再発と全死亡のいずれのリスク増加にも関連している一方で、蛋白尿は全死亡のリスク増加と有意に関連するものの全脳卒中再発のリスク増加には蛋白尿高度群(尿試験紙法で2+以上)のみ有意に関連していること

3)ガイドラインで階層化されたCKDリスク分類は、急性期脳梗塞後の長期的な全脳卒中再発と全死亡と有意に関連していること

4)蛋白尿と全脳卒中再発また全死亡の関連は特に75歳未満の患者と非心原性脳梗塞患者で強く認められたこと

を見出しています。

今回の結果からは、eGFR低下と蛋白尿増加は脳梗塞後の長期的な脳卒中再発と全死亡に対して相互に独立した危険因子であることが示されました。また全脳卒中再発において、eGFR低下と蛋白尿の間で関連性の相違を認めましたので、これらが心血管疾患リスクの原因となる病態生理学的メカニズムが両者で異なる可能性が示唆されました。

 

(添付資料は2内科大学院生リサーチミーティングでの発表資料の一部です)