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2023年11月27日(月)

中村瑶子先生(R4)(R6:入研予定)が第343回日本内科学会九州地方会で初期研修医奨励賞を受賞しました!

中村瑶子先生(R4)(R6:入研予定)が第343回日本内科学会九州地方会で初期研修医奨励賞を受賞しました(指導医:横井美央 先生)。おめでとうございます!

 

タイトル:HIF-PH阻害薬の関与が疑われた脳梗塞の1例

<抄録>【症例】56歳、女性【主訴】話の辻褄が合わない、呂律の回りにくさ、右足の脱力【現病歴】末期腎不全に対して35歳時に血液透析導入、37歳時に膵腎同時移植を行ったが、53歳時に再度末期腎不全に至り血液透析を再開した。難治性腎性貧血に対して低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬ダプロデュスタットを高用量処方されていた。X年5月急性膵炎を発症し当院外科で加療中、第7病日に突然の見当識障害、構音障害、右下肢脱力を発症した。血液検査上、鉄欠乏は認めず、急性膵炎発症後1週間でヘモグロビン (Hb) 値が1g/dL上昇していた。D-ダイマーは異常高値(30 μg/dL)であった。頭部MRIで両側前頭葉や左放線冠に散在する急性期梗塞を認め、多発塞栓症としてヘパリンの投与を開始した。下肢静脈血栓を認めたが右左シャントは認めず、明らかな塞栓源や血栓性素因も認めなかった。静脈血栓治療と脳梗塞二次予防を兼ね、ワルファリンを開始し、ダプロデュスタットをESA製剤に変更した。脳梗塞再発や後遺症なく退院となった。【考察】末期腎不全による血液透析患者において、HIF-PH阻害薬使用中に急性膵炎および多発脳梗塞・静脈血栓症を発症した1例を経験した。HIF-PH阻害薬使用中の急激なHb値上昇(>0.5g/dL/週)は血栓症発症のリスクであり、本症例における脳梗塞発症にも関与した可能性がある。