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2024年2月19日(月)

山中圭先生(H24)の学位予備審査が開催されました!

山中圭先生(H24)の学位予備審査が2024131日に開催されました!

薬剤誘発マウス脱髄モデルを用いて、Nox4が脱髄とその後の再髄鞘化応答に及ぼす影響について検討した内容を発表しました。

活性酸素種産生酵素NADPH oxidase 4の欠失はミクログリアおよびマクロファージの貪食能を向上させ、クプリゾン誘発性脱髄モデルマウスにおける再髄鞘化を促進する

Deletion of Nox4 enhances demyelination following cuprizone-induced demyelination by increasing phagocytic capacity of microglia and macrophages in mice 

 

①Nox4欠失マウスでは(1)クプリゾン中断後の運動機能回復と再髄鞘化応答が促進されること、(2)脱髄部位へのアストロサイトとオリゴデンドロサイト前駆細胞の集簇が促進されること、(3)脱髄分へのミクログリア/マクロファージの集簇も促進されること、(4)ミクログリア/マクロファージによるミエリンデブリス貪食が促進され栄養因子発現量も増加すること

②Nox4のmRNAの発現は、ミクログリアよりも骨髄由来マクロファージ(BMDM)で高く、エリンデブリスの貪食により上昇すること

③Nox4欠失BMDMはミエリンデブリス貪食能が高く、貪食後の栄養因子発現量も多いこと

④貪食中のNox4欠失BMDMではミトコンドリア膜電位の上昇が抑制されること

⑤Nox4欠失の培養ミクログリアも貪食能が高く、貪食後の栄養因子発現が高いこと

⑥ミエリンデブリスを貪食した後のNox4欠失BMDMの培地上清はオリゴデンドロサイト前駆細胞の増殖と分化を促進すること

上記の実験結果を提示し、

1)Nox4欠失はマウスにおけるクプリゾン誘発性脱髄後の再髄鞘化や運動機能回復を促進する

2)その機序として、ミエリンデブリス貪食によるマクロファージやミクログリア内でのミトコンドリア膜電位上昇がNox4欠失によって抑制され、貪食能の向上、ミエリンデブリス除去亢進、栄養因子産生亢進によりオリゴデンドロサイト前駆細胞の分化・増殖が促進されることでオリゴデンドロサイト新生(再髄鞘化)が生じたと考えられる

と結論づけました。

 

主査: 中島欽一 教授 (基盤幹細胞学)

副査: 磯部紀子 教授 (神経内科学)

副査: 神野尚三 教授 (神経解剖学)