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2024年4月28日(日)

入江芙美先生(H14)の研究成果がScientific Reports誌に掲載されました!

入江芙美先生(H14)がFSR研究の成果を論文発表されました。

Effects of smoking status on clinical outcomes after reperfusion therapy for acute ischemic stroke

喫煙が脳血管や心血管にとって一般的に有害であるとされています。一方で、喫煙者は非喫煙者と比べて脳梗塞発症後の再灌流療法後の臨床転帰がよいことも報告されてきており、「喫煙パラドックス」と言われてきています。その背景に、喫煙によって誘発されるフィブリンに富んだ血栓はrtPA血栓溶解療法によって溶解されやすい可能性があるとの考えです。

はたして本当に「喫煙パラドックス」が存在するのかを入江芙美先生は、Fukuoka Stroke Registryに登録された脳梗塞超急性期に再灌流療法(rtPA血栓溶解療法 and/or 機会的血栓回収術)を受けた患者さんで発症前のADLが自立していた1148名を対象に、喫煙と入院中の神経症状増悪また3ヶ月後の機能転帰良好(modified Rankin Scale 0-2)の関連を検討しました。

なお、喫煙の状態は現喫煙者(231名:脳梗塞発症6ヶ月以内の喫煙あり)と非喫煙者(917名:脳梗塞発症6ヶ月以前に禁煙、または過去に喫煙なし)の2群に分類しています。

その結果、喫煙者は非喫煙者と比較して、多変量解析で臨床背景を調整しても入院中に神経症状の改善や3ヶ月後の機能転改善となる可能性は有意に高くはなっていませんでした。臨床背景をさらに調整する目的にプロペンシティスコアマッチング解析を行っても同様の結果でした。

今回の結果から、喫煙は脳梗塞超急性期の再灌流療法の臨床転帰とは関連しないことが示され、「喫煙パラドックス」は否定されました。以前にもFSR研究から再灌流療法が施行された方を含めた急性期脳梗塞患者では喫煙が脳梗塞後の臨床転帰不良と有意に関連することを報告してきています(Stroke 2020;51:846-852)。そのため今回の結果からも禁煙が強く推奨されます。