大屋祐一郎先生(H25)が、Fukuoka Stroke Registry (FSR)を用いて、内科的管理を行った脳出血患者における、入院時の脈圧と急性腎障害の発症リスクとの関連について検討した成果が論文発表されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39653796/
Hypertens Res. 2024
Association between pulse pressure and risk of acute kidney injury after intracerebral hemorrhage
Yuichiro Ohya, Fumi Irie, Kuniyuki Nakamura, Takuya Kiyohara, Yoshinobu Wakisaka, Tetsuro Ago, Ryu Matsuo, Masahiro Kamouchi, Takanari Kitazono; Investigators for Fukuoka Stroke Registry
要約:
- 背景・目的: 脳内出血(ICH)は全脳卒中の10–15%を占め、急性期の血圧管理が予後に重要です。急性腎障害(AKI)はICH後の深刻な合併症であり、その発症に血圧変動が関与します。今回、脈圧が脳内出血後のリスクと独立して関連しているかを評価しました。
- 方法: FSRのデータを用いて、2007年6月から2019年9月までに入院した1512名のICH患者を対象に、入院後3日目の脈圧を3つのカテゴリー(G1 < 54 mmHg, G2: 54–64 mmHg, G3 ≥ 65 mmHg)に分けて解析しました。
- 結果:
- AKI発症率はG1で5.6%、G2で11.0%、G3で13.2%でした。
- 多変量解析では、G2およびG3のAKI発症リスクがG1よりも有意に高かったです(オッズ比1.77および1.82)。
- 初期収縮期血圧(SBP)が200 mmHg未満の患者、および急性期の降圧治療を受けた患者で特に強い関連が見られました。
- 結論: 脈圧は、ICH後のAKIの新しい潜在的リスク因子として認識されるべきであり、降圧治療時には特に注意が必要と考えられました。
ポイント:
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- 脈圧は動脈硬化の指標であり、ICH後のAKI発症リスクと独立して関連していました。
- 特に高い脈圧は腎血流低下を引き起こし、腎機能を損なう可能性が考えられます。
- 本研究の臨床的意義としては、ICH後のAKIリスクを予測する新しい指標として降圧治療の際に脈圧の評価が重要であることを示しました。特にSBP < 200 mmHgの患者や急性期治療中の患者において、AKIリスクを考慮した血圧管理が必要と考えられました。


