真菌感染症に伴い内頸動脈閉塞および脳梗塞を発症した稀な症例の報告が、Journal of Infection and Chemotherapyに掲載されました。
症例は明らかな免疫抑制状態のない71歳男性で、左眼の視力低下を契機に受診し、内頸動脈閉塞に伴う脳梗塞を認めました。鼻・眼窩・頭蓋内に及ぶ感染症が疑われたものの、外科的生検を含むさまざまな検査を行っても原因を特定できず、確定診断まで約4か月を要しました。
最終的に、通常より多量の髄液(10 mL)を用いて培養を行うことで真菌が検出され、遺伝子解析によりCladosporium halotoleransとPenicillium corylophilumによる混合感染であることが明らかとなりました。リポソーマルアムホテリシンBに続いてボリコナゾールによる治療を行い、臨床所見および画像所見は徐々に改善しました。
鼻・眼窩・頭蓋内に及ぶ真菌感染症は稀ですが、血管壁へ感染が波及することで内頸動脈閉塞や脳梗塞を引き起こすことがあります。本症例は、原因不明の内頸動脈閉塞や脳梗塞では、明らかな免疫抑制状態がなくても真菌感染症を鑑別に挙げることの重要性を示しています。また、原因真菌の同定において十分な量の髄液を用いた培養が診断につながる可能性も示されました。
Hidaka M, Kiyohara T, Yazaki M, Nakamura K, et al.
Rhino-orbito-cerebral fungal infection associated with mixed Cladosporium halotolerans and Penicillium corylophilum, complicated by internal carotid artery occlusion and ischemic stroke: a case report.
Journal of Infection and Chemotherapy. 2026;32(7):103007.
doi: 10.1016/j.jiac.2026.103007
論文はこちら
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1341321X26001054


