九州大学大学院 病態機能内科学(第二内科)消化器研究室

当科における臨床研究および治療 CLINICAL CASE STUDY

炎症性腸疾患に関するゲノム疫学的研究

はじめに

九州大学大学院医学研究院病態機能内科学では、理化学研究所や東北大学と共同で、クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患に関係する遺伝子や薬の効き目に関係する遺伝子を見つけ出したり、遺伝子技術を取り入れた病気の検診のための技術開発を行っています。

対象

この研究の対象となる方は、九州大学病院消化管内科に通院中もしくは入院中の患者さんで、クローン病もしくは潰瘍性大腸炎と診断され、研究への参加を文書で同意書頂いた患者さんです。 また平成23年9月28日から行われている「潰瘍性大腸炎に関するゲノム疫学研究」や平成24年11月12日から行われている「クローン病に関するゲノム疫学的研究」で検体の二次利用の同意を得ている方も対象となります。

研究内容

この研究への参加に同意いただきますと、通常診療での採血に追加して、研究用試料として血液を15ml余分に採血させていただきます。研究に先立ち、個人情報の漏洩を防ぐため、あなたの個人情報を抜き取り別に管理します。提供していただいた血液からDNAという物質を取り出し、遺伝子の型が他の人とどのように違うかを、共同研究機関である理化学研究所および東北大学において解析し、潰瘍性大腸炎やクローン病の発症に関連があるかもしれない遺伝子や、現在行われている治療の効果に関連があるかもしれない遺伝子を探し出します。具体的には、下記の情報と遺伝子との関連を検討します。

a) 年齢(生年月日) b) 性別 c) 身長 d) 体重 e) 診断時年齢 f) 家系内発生の有無 <潰瘍性大腸炎の患者さん> g) 罹患範囲(直腸炎型/左側大腸炎型/全大腸炎型) h) 臨床病型(初発型/再燃緩解型/慢性持続型/電撃型) i) 腸管合併症の有無(結節性紅斑、壊疽性膿皮症、原発性硬化性胆管炎など) j) 入院治療回数(原疾患の増悪による入院回数) k) 虫垂切除術の既往 l) 手術歴の有無(大腸切除術) m) 手術理由(大量下血、中毒性巨大結腸症、癌合併など) n) 内科的治療(アミノサリチル酸製剤、ステロイド剤、免疫抑制剤、抗TNFα抗体製剤などの投与有無について) o) 治療効果・副作用(ステロイドへの反応、抗TNFα抗体製剤の一次無効・二次無効の有無や副作用、血中抗TNFα抗体製剤濃度および抗TNFα抗体製剤抗体の有無、アザチオプリンへの反応や副作用など) <クローン病の患者さん> p) 罹患範囲(小腸型/小腸大腸型/大腸型) q) 腸管合併症の有無(狭窄、瘻孔、膿瘍など) r) 腸管外合併症の有無(結節性紅斑、関節炎、虹彩炎、肛門部病変など) s) 虫垂切除術の既往 t) 栄養療法の有無(中心静脈栄養、経腸栄養など) u) 手術歴の有無(小腸切除術、大腸切除術、狭窄形成術など) v) 手術理由(下血、難治性、癌合併など) w) 内科的治療(アミノサリチル酸製剤、ステロイド剤、免疫抑制剤、抗TNFα抗体製剤などの投与有無について) x) 治療効果・副作用(ステロイドへの反応、抗TNFα抗体製剤の一次無効・二次無効の有無や副作用、血中抗TNFα抗体製剤濃度および抗TNFα抗体製剤抗体の有無、アザチオプリンへの反応や副作用など)

個人情報の管理について

個人情報保護法の基本原則-①利用方法による制限(利用目的を本人に明示)、②適切な取得(利用目的の明示と本人の了解を得て取得)、③正確性の確保(常に正確な個人情報を保つ)、④安全性の確保(流出や盗難、紛失を防止する)、⑤透明性の確保、に基づき個人情報に関しましては厳密に取り扱いを行います。 遺伝子の研究結果は、さまざまな問題を引き起こす可能性があるため、他の人に漏れないように、取り扱いを慎重に行う必要があります。 あなたから提供いただいた試料や診療情報は、遺伝子解析する前に診療録や試料の整理簿から、住所、氏名、生年月日などを削ります(これを匿名化といいます)。 本研究では、遺伝情報の開示や研究協力への同意の取消し、診療情報との照合などの目的で、連結可能匿名化されるため、遺伝子解析を行う前に、新しい符号を付けます。あなたとこの符号を結びつける対応表は九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター(個人情報管理者:教授・中島直樹)において厳重に保管いたします。 このようにすることによって、全ての遺伝子の解析結果は、解析を行う研究者にも、誰のものであるとわからなくなります。

研究期間

この研究は平成27年12月21日から平成32年12月20日の期間に行われる予定です。

医学上の貢献

本研究により被験者となった患者さんが直接受けることができる利益はありませんが、将来研究成果はクローン病の診断や治療選択の一助になり、多くの患者さんの治療と健康に貢献できる可能性が高いと考えます。

研究機関

研究責任者 九州大学大学院医学研究院病態機能内科学分野 教授 北園孝成
研究分担者 九州大学大学院医学研究院病態機能内科学分野 講師 江﨑幹宏
九州大学病院消化管内科・助教・森山智彦
九州大学病院消化管内科・助教・鳥巣剛弘
九州大学病院消化管内科・助教・梅野淳嗣
九州大学病院消化管内科・助教・平野敦士
共同研究者 東北大学大学院消化器病態内科学
担当者:助教・角田洋一
理化学研究所横浜事業所 統合生命医科学研究センター
担当者:副センター長・久保充明

連絡先

この研究への登録を希望されない患者様は下記にご連絡下さい。

〒812-8582 福岡市東区馬出3丁目1-1 九州大学病院 病態機能内科(第二内科)
電話:092-642-5261(消化器研究室) FAX:092-642-5273
担当:九州大学病院消化管内科 助教 梅野淳嗣

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