九州大学大学院 病態機能内科学(第二内科)消化器研究室

当科における臨床研究および治療 CLINICAL CASE STUDY

症候性小腸狭窄を有するクローン病患者に対する薬物療法と内視鏡的バルーン拡張術の治療成績について:多施設共同研究

臨床研究について

九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学病院消化管内科では、現在クローン病の患者さんを対象として、腸管狭窄に対する治療方針の決定に役立つ指標を確立することを目指した「臨床研究」を行っています。
今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、平成31年3月31日までです。

研究の目的や意義について

クローン病の腸管合併症の一つに腸管の狭窄(狭くなること)があり、狭窄により腸閉塞となった際には手術による腸管切除が必要となることがあります。本研究では吐き気や腹痛など腸管狭窄や腸閉塞による腹部症状を認めたクローン病患者さんの以前の診療情報を元に、病状や治療内容のデータ集積を行います。具体的には免疫調節剤(アザニンⓇ、イムランⓇ)や抗TNF-α抗体製剤(レミケードⓇ、ヒュミラⓇ)といった薬物療法の使用状況や経過中に施行したバルーン小腸内視鏡や内視鏡的バルーン拡張術の施行状況などについて調査します。この研究により、腸管狭窄を認める患者さんに対する適切な治療選択が可能となることが期待できます。
なお、一施設では対象となる患者さんが限られるため、この研究は全国の施設と共同して行われます。

研究の対象者について

九州大学病院消化管内科に2008年1月1日から2017年3月31日までの間にクローン病で通院歴のある患者さんのうち、2008年以降に腸管狭窄や腸閉塞による腹部症状を認めた方を対象とさせていただく予定です。研究の対象者となることを希望されない方、または研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。

研究の方法について

カルテより下記の情報を取得します。取得した情報は九州大学病院で名前や生年月日など個人情報が識別できる情報を削除(このことを「匿名化」といいます)した上で滋賀医科大学消化器内科へ送付され、腸管狭窄の病状および治療経過に関する詳しい分析が行われます。
匿名化された情報を他機関へ送付することを希望されない場合は、送付を停止いたしますのでご連絡ください。

〔取得する情報〕
①臨床背景因子・臨床検査所見
検査日時、性別、クローン病発症時年齢、腸閉塞発症時年齢、罹病範囲(小腸型/大腸型/小腸大腸型)、病型(炎症型/狭窄型)、肛門病変の有無、喫煙の有無、狭窄発症時の腰椎L3領域の筋肉面積・腸腰筋面積
②投与薬剤情報
クローン病発症から免疫調節剤と抗TNF-α抗体製剤投与開始までの期間、免疫調節剤と抗TNF-α抗体製剤投与開始時の罹病期間・重症度スコア、免疫調節剤と抗TNF-α抗体製剤の種類・投与量・投与方法・投与期間、その他の併用薬剤
③狭窄病変の評価
狭窄の部位・長さ・個数・粘膜所見・拡張術の有無と所見(拡張径、拡張回数、責任病変を拡張できたかどうか、バルーン小腸内視鏡施行時もしくはバルーン拡張術時の合併症の有無)
④臨床経過
手術症例では狭窄部位の腸管切除の有無と免疫調節剤と抗TNF-α抗体製剤投与開始 時からの期間、手術理由、内視鏡拡張術の施行日・施行回数、狭窄症状による入院回数

個人情報の取り扱いについて

研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院病態機能内科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院病態機能内科学分野・教授・北園孝成の責任の下、厳重な管理を行います。
研究対象者のカルテの情報を滋賀医科大学消化器内科へ郵送する際には、九州大学にて上記の処理をした後に行いますので、研究対象者を特定できる情報が外部に送られることはありません。また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をし たりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。

試料や情報の保管等について

この研究において得られた患者さんのカルテ情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院病態機能内科学分野において同分野教授・北園孝成の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

研究に関する情報や個人情報の開示について

この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。また、ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

研究機関

研究実施場所 九州大学病院消化管内科
研究責任者 九州大学大学院病態機能内科学 教授 北園孝成
研究分担者 九州大学病院消化管内科・講師・江崎幹宏
九州大学病院消化管内科・助教・平野 敦士
九州大学病院消化管内科・助教・藤岡審
共同研究施設
/ 研究責任者の職名・氏名
役割:情報の収集
<プロトコール作成責任者>
滋賀医科大学消化器内科 / 講師・馬場重樹
<プロトコール作成担当者>
戸畑協立病院内科 / 内科医長・酒見亮介
北里大学北里研究所病院炎症性腸疾患先進治療センター / 副センター長・小林拓
大阪大学消化器内科学 / 学内講師・新崎信一郎
大阪市立大学総合内科 / 講師・鎌田紀子
東京医科歯科大学消化器内科 / 助教・藤井俊光
札幌厚生病院IBDセンター / 主任医長・田中浩紀
北野病院消化器センター / 副部長・吉野琢哉
大船中央病院光学診療部 / 部長・吉田篤史
<情報収集担当者>
川崎医科大学消化管内科 / 石井学
名古屋市立大学消化器・代謝内科学 / 尾関啓司
広島大学内視鏡診療科 / 林亮平
東邦大学佐倉医療センター消化器内科 / 山田哲弘
埼玉医科大学総合医療センター消化器肝臓内科 / 可児和仁
兵庫医科大学炎症性腸疾患内科 / 横山陽子
獨協医科大学内科学(消化器) / 竹中一央
大阪医科大学第二内科 / 柿本一城
京都大学消化器内科 / 北本博規
聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科 / 山下真幸
弘前大学消化器血液内科学講座 / 櫻庭裕丈
呉共済病院消化器内科 / 吉岡京子
足利赤十字病院内科 / 高橋史成
関西医科大学消化器肝臓内科 / 深田憲将
岡山大学消化器内科 / 井口俊博
宮崎大学消化器内科 / 芦塚伸也
金沢大学消化器内科 / 北村和哉
虎の門病院消化器内科 / 松井啓
神戸大学消化器内科 / 大井充
倉敷中央病院消化器内科 / 下立雄一
大分大学消化器内科 / 園田光
慶応義塾大学消化器内科 / 清水慎大
琉球大学光学医療診療部 / 金城徹
福岡大学消化器内科 / 竹田津英稔

連絡先

この研究への登録を希望されない患者様は下記にご連絡下さい。

〒812-8582 福岡市東区馬出3丁目1-1 九州大学病院 病態機能内科(第二内科)
電話:092-642-5261(消化器研究室) FAX:092-642-5273
メール:sfujioka@intmed2.med.kyushu-u.ac.jp
担当:九州大学病院消化管内科 助教 藤岡 審

Page Top