九州大学大学院 病態機能内科学(第二内科)消化器研究室

当科における臨床研究および治療 CLINICAL CASE STUDY

消化管悪性リンパ腫における分子遺伝学的異常の臨床的意義に関する検討

臨床研究について

九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学病院消化管内科では、現在消化管悪性リンパ腫の患者さんを対象として、分子遺伝学的異常、臨床病理学的特徴、治療法、予後に関する「臨床研究」を行っています。
今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、平成34年3月31日までです。

研究の目的や意義について

この研究の目的は消化管悪性リンパ腫の腫瘍細胞における分子遺伝学的異常の有無が、病気の進行度、治療の効果や生命予後などの臨床像と関係があるのかどうかを明らかにすることです。近年、悪性リンパ腫の腫瘍細胞における染色体異常や遺伝子発現の異常が組織型の診断や治療方針を決定する際に重要となってきました。蛍光in situハイブリダイゼーション(fluorescence in situ hybridization; FISH)法やマイクロアレイ解析、nCounter Analysis System🄬という手法により、小さな生検標本でも、このような分子遺伝学的異常を見つけることが可能となり、様々な解析が行われています。
この研究で行う遺伝子解析は、大まかな遺伝子発現の量的変化を見るものであって、先天的な異常や体質などに関わる遺伝子の質的変化を詳しく調べるものではありません。つまり、対象者の親族に影響を及ぼすような遺伝情報には一切触れません。

研究の対象者について

この研究の対象となるのは承認日から平成34年3月31日までに九州大学病院消化管内科で消化管悪性リンパ腫と診断された方に加えて、昭和45年1月1日から平成29年3月31日までの間に当科で消化管悪性リンパ腫と診断された約420例が対象となります。
研究の対象者となることを希望されない方は、下記連絡先までご連絡ください。

研究の方法について

対象者のカルテを参照させていただき、臨床所見(診断時年齢、性別、浸潤臓器、病歴に関する情報、臨床病期、一般状態(performance status, B症状))、血液所見(血液ヘモグロビン、可溶性IL-2受容体、LDH、β2ミクログロブリン)、感染症の有無(ヘリコバクター、キャンピロバクター、C型肝炎ウイルス、各種寄生虫)、病理学的所見(リンパ腫の組織型、濾胞性リンパ腫では組織グレード)を調査します。
診断または治療のために内視鏡検査または手術の際に得られた消化管悪性リンパ腫の腫瘍細胞の一部を用いて、FISH法で染色体異常の探索を行います。また同様にして腫瘍細胞の一部からRNAとDNAを抽出し、マイクロアレイシステムおよびnCounter Analysis System🄬などを用いて遺伝子発現異常の探索を行います。以上より疾患ごとに発現が増強もしくは減弱する分子遺伝学的異常を同定し、免疫組織化学染色なども追加して詳細に検討します。
それらの情報を解析し、治療(治療開始日、治療方法、効果不十分時の追加治療)、治療反応性や予後との関連を調べます。

個人情報の取扱いについて

対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院病態機能内科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した個人情報は、九州大学大学院医学研究院病態機能内科学分野・教授・北園 孝成の責任の下、厳重な管理を行います。

試料や情報の保管等について

この研究において得られた対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院病態機能内科学分野において同分野教授・北園 孝成の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
また、この研究で得られた対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

研究に関する情報や個人情報の開示について

この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
また、ご本人からの開示の求めに応じて、保有する個人情報のうちその本人に関するものについて開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

研究機関

研究実施場所 九州大学病院消化管内科
九州大学大学院医学研究院病態機能内科学分野
研究責任者 九州大学大学院病態機能内科学 教授 北園孝成
研究分担者 九州大学病院消化管内科 講師 江﨑 幹宏
九州大学病院消化管内科 併任講師 森山 智彦
九州大学病院消化管内科 助教 鳥巣 剛弘
九州大学大学院医学研究院病態機能内科学分野 助教 平野 敦士
九州大学病院光学医療診療部 助教 藤岡 審
九州大学医学研究院保健学部門病態情報学分野 講師 藤原 美奈子
九州大学大学院医系学府形態機能病理学分野 大学院生 保利 喜史
九州大学大学院医学系学府病態機能内科学分野 大学院生 松野 雄一
九州大学大学院医学系学府病態機能内科学分野 大学院生 河野 真一
(研究計画書作成担当者)
研究事務局 九州大学大学院医学研究院病態機能内科学分野 消化器研究室

連絡先

この研究への登録を希望されない患者様は下記にご連絡下さい。

〒812-8582 福岡市東区馬出3丁目1-1 九州大学病院 病態機能内科(第二内科)
電話:092-642-5261(消化器研究室) FAX:092-642-5273
メール:k-shin@intmed2.med.kyushu-u.ac.jp
担当:九州大学大学院医学研究院病態機能内科学分野 大学院生 河野真一

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