九州大学大学院 病態機能内科学(第二内科)消化器研究室

当科における臨床研究および治療 CLINICAL CASE STUDY

顕微鏡的大腸炎 ( microscopic colitis ) の重症・難治例に関する全国実態調査研究

観察研究について

九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院消化管内科では、現在顕微鏡的大腸炎の患者さんを対象として、重症・難治例に関する「観察研究」を行っています。
今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2023 年 3 月 31 日までです。

研究の目的や意義について

顕微鏡的大腸炎 ( microscopic colitis ) は、原因不明の慢性腸管炎症によって下痢がおこり、消化管の吸収機能の異常が認められる疾患です。この疾患は、日本ではあまり知られていないと考えられています。しかし、慢性下痢症の患者さんの約30%は、細かな検査(病理組織学的検査)を行った結果、顕微鏡的大腸炎と診断されたり、治療に難渋するという報告もあります。そのため、疾患の実態の把握が課題となっています。さらに近年、日本においても諸外国同様、炎症性腸疾患の治療のための様々な新薬が開発されており、治療の選択肢は増えてきています。その一方、顕微鏡的大腸炎に対する治療の実態は不明であり、治療体系も確立されていません。
この研究では、顕微鏡的大腸炎の実態調査を全国規模で実施します。疾患の実態、ならびに最新の薬物療法を踏まえた治療の実態を調査することで、日本における顕微鏡的大腸炎の現状を明らかにし、適切な治療環境の提供につながる情報が得られることが期待されます。

研究の対象者について

九州大学病院消化管内科において2019 年 4 月 1 日から2022 年 3 月 31 日までの期間に、顕微鏡的大腸炎と診断され当院に通院されている患者を対象にします。
その他、九州大学病院消化管内科に現在通院中の患者さんの中から、5名の方に協力いただく予定です。
研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。

研究の方法について

この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。

 〔取得する情報〕
顕微鏡的大腸炎の全般事項 ( 臨床診断、性別、年齢 )
顕微鏡的大腸炎の活動期の重症・難治例の特徴 ( 社会生活への影響、合併疾患、起因薬剤の有無等 )
診断に要する時間、症状 ( 全身症状、下部消化管症状、随伴症状 )
顕微鏡的大腸炎の治療 ( 寛解導入、維持 )

※多機関共同研究や企業等への業務委託に該当する場合は、内容を具体的に記載すること
株式会社クロス・マーケティングが作成したアンケートフォームを用いて、東京医科歯科大学病院へ研究対象者の情報を送付し、詳しい解析を行う予定です。
他機関への試料・情報の送付を希望されない場合は、送付を停止いたしますので、ご連絡ください。

個人情報の取扱いについて

研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院病態機能内科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院病態機能内科学分野・教授・北園 孝成の責任の下、厳重な管理を行います。
ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

研究対象者のカルテの情報を東京医科歯科大学病院へ送付する際には、九州大学にて上記の処理をした後に行いますので、研究対象者を特定できる情報が外部に送られることはありません。

試料や情報の保管等について

〔情報について〕
この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院病態機能内科学分野において同分野教授・北園 孝成の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。 
また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

利益相反について

九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
本研究を実施するにあたり、調査に利用するWeb調査の構築をゼリア新薬工業株式会社が実施します。当企業は、Web調査票の構築のみ委託先にて実施し、調査結果には一切関与致しません。この研究の実施にあたっては、東京医科歯科大学及び九州大学臨床研究利益相反マネジメント委員会において審議され、適切であると判断されております。
利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)

研究に関する情報や個人情報の開示について

この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。

研究機関

研究実施場所 九州大学病院消化管内科
九州大学大学院医学研究院病態機能内科学分野
研究責任者 九州大学大学院病態機能内科学 教授 北園孝成
研究分担者 九州大学病院消化管内科 講師 鳥巣 剛弘
九州大学病院消化管内科 助教 梅野 淳嗣
共同研究機関等

①  東京医科歯科大学病院、臨床試験管理センター 消化器内科・准教授・長堀 正和

業務委託先

企業名等:株式会社クロス・マーケティング
所在地:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー24F

連絡先

この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。

〒812-8582 福岡市東区馬出3丁目1-1 九州大学病院 病態機能内科(第二内科)
電話:092-642-5261(消化器研究室) FAX:092-642-5273
メール:umeno.junji.199@m.kyushu-u.ac.jp
担当:九州大学病院消化管内科・助教・梅野 淳嗣

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